2014年10月6日月曜日

Private222を聴いてみて


















 過度のネタ不足で余りに脈絡がない画像がTOPに躍り出てしまい誠に申し訳ない限りだがさっそく前記事の続きという事でPrivate222のレビューを書き上げたいと思う。


エージングはきっかり50時間程度、あまりやりすぎるのもよくないと話を聞き早々に切り上げた次第である。


僕は大手ブロガーさん達と違ってお金をもらって宣伝をしたりといった事は一切ないので過大評価も過小評価もするつもりはない。


率直な感想として受け止めていただけたらうれしいが、汚い日本語、乱文には目をつむって頂けると非常にありがたい。


Private222

















フォロワーさん曰く"真っ赤なダイヤ"

 まず初めに国産初のカスタムイヤホンの購入に至った経緯を説明したい。

実はここ1年ほどは長らくK3003を愛用していたのだが都内に引っ越し、騒音の中での通学を余儀なくされその間に音楽を聴く機会が急増した。


僕が普段地下鉄を利用して通学をしているが全ての線路を含め都営地下鉄ではおよそ毎日300万人近くが利用しているという。


さすがにその喧噪と騒音の中で毎日計1時間も通常のカナル型イヤホンでは限界という物がある。


















 実のところカスタムイヤホンはこれが初めてではない。
かつて手放したMerlinが初代カスタムイヤホンであったが度重なる故障
などにうんざりし早急に手放した過去もありサポートのしっかりしていると名高い国産の中でも評判の良い須山補聴器の中のラインナップからイヤホンを選ぶ事にした。


















分かりにくいかもしれないが僕の耳は奇形で付け根の部分の形が左右全然違う

 ラインナップの選定基準は実に単純であった。

1.元気に鳴る事。

2.予算は14-5万円前後。

3.強靭な遮音性

僕はいわゆるドンシャリの音が好きだ。

元気に鳴るという事はつまりそういう事である。

とはいうものの低音が主張しがちなbeatsのような音が好みという訳ではなく押し殺した低域と伸び抜けた高音域を理想としている。

高音域の点ではK3003が僕の理想を遥かに上回る快挙であったが残念ながら低域は死んでいるに等しかった。

ドン3割シャリ7割が理想であるのに対してK3003はシャリが8割以上と強すぎる。

そして7月に大幅な値上げがあった事もあり須山の中から選ぶとなるとPrivateシリーズの中からの選考となった。

フォロワーである友人と一緒にeイヤホンにて視聴を行い選考をしたが結果から言うと222は満場一致の結論であった。(そのフォロワーさんと音の好みの傾向が僕はとても近いと自負している)


 まず初めに述べておくとPrivate222の所有者は非常に少ない。

これは須山補聴器のMH334が業界で尖った評価をされ続けブランドロイヤリティを形成した結果とも考えられる。

また10万近くの大金をイヤホンに対して出資できる人間のほとんどにとっては10万も17万も変わらないのかもしれない。実際に僕も須山補聴器にインプレの予約をした旨をtweetしたら「MH334ですか?」というリプを何件も拾った。















耳が安いと言われればそれまでかもしれないが僕は実際に聴いてみてPrivate222がMH334やMH335DWなどの上位モデルに比べて相当に劣るものだとは考える事はできないのだ。



それでは実際に曲を何曲か聴いてみて感想を書き連ねてみたい。




















比較音源各種



①Be Mine!! [DUOより(「レプリカ」初回特典DISC)]/坂本真綾

②aLIEz(A/Zより)   / SawanoHiroyuki[nkz]

③Internal Clock(Silenceより)/ Monolake





比較環境はK3003


















いずれの音源もAK120直刺し

リッピングはEACを使用したwav音源


①Be Mine!!/坂本真綾

222観

 観客の拍手から始まり3カウントのちに曲が流れる。

Live音源故か暖かみまでも再現してくれる添える程度のか弱い低域は曲がヒートアップするにつれて姿を変える。

"私を見つけて 
  私を信じて
  私を壊して
  欲しい 欲しい 欲しい
  まだ見ぬを全部と
  不条理を全部
  輝ける全部が
  欲しい 欲しいから生まれてきた"

低音が増えるにつれて曲全体、ライブ会場全体の興奮が流れ込んでくる。

じーんと静かに観客のアドレナリンが伝わってくる。ラッセルは自著「幸福論」において退屈の対義語は興奮であり、人は興奮さえできれば苦痛であれ快楽であれ満たされると述べていたが他者の興奮と言うものはここまでも居心地が良い物なのだろうか。

生暖かい音に酔いしれられるがそこに音のリアリティ存在しない。ライブで言えば観客席ではなくピアノ演奏者の真後ろで聴いているかの様な距離感なのである。

その点が人によってはやや難点なりうるかもしれない。

K3003観

 人工的に作られた機械じかけと天然の高音域が融和してボーカルとの距離感こそはあるもののそこが聴きやすくちょうどいいという考えもありかもしれない。特にこのライブはピアノボーカルオンリーだからまだしもバンド形式のライブなら煩わしさも無い。

上述、盛り上がる展開で拍手が巻き起こるが拍手1つ1つの融和性の無さ、1つ1つがバラバラになっているのが正確に聞き取れる点から分かる通り222と違い音に一切の濁り気は無い。しかしそれは暖かみの排除に等しくライブ特有の緊張感が底には無い。映画館の一等席でライブビューを見る感じに近いのかもしれない。

②aLIEz/SawanoHiroyuki[nkz]

222観

 ドラム一発目から人工的な曇り気を感じる。個人的にライブでもないのにこの生暖かさは不要である。密封された耳の構造故なのか、ここまで高域の伸びが不足しているといささか気分が悪い。瞬間的にドラムがやめば曇り気は消える物のヴォーカルの威圧感も加えて聴きにくい。この曲は低域をおろそかにしても高域の伸びを求めた方が聴きやすいのかもしれない。



K3003観
 
 打ち込み音楽の鋭い響きなどはもはやK3003の専売特許と言えるだろう。

”どこまで叫べば位置を知れる とどめもないまま息が切れる
  堂々さらした罪の群れと 後ろ向きにあらがう”

盛り上がるタイミングにおいて起用される電子音の数々に元々リアリティはない、その点K3003はリアリティがない音には強い。電子音に勝手にK3003が魂を吹き込んで動かしている。低域BAはダイナミックドライバーに行き場を奪われるものの高域高まりそれが悲痛な叫びとなり鋭い女性vocalは更なる悲壮感を増す。

③Internal Clock/monolake

222観

 規模で言えば洞窟、鍾乳洞ぐらいの箱に閉じ込められて周囲から音を鳴らされている感覚である。ビートを鼓動と捉えるなら巨大な生物の内蔵にいるとも考えられる。深い絶望と孤独感を感じるが時間の経過はとてもゆっくりで存分に居心地が悪いという訳ではない。"癒しの音"と呼ばれる様なシリーズのCDが売られているが人間の活動の収束には虚構の絶望と孤独が必須である。狭い空間で閉じこもって聴くには最適ではないだろうか。



K3003観

 全編通して打ち込みサウンド。きれいに収まるという事は無く音源そのものに集約は無い。「もののけ姫」に出てくる森の言霊に囲まれているのではないかという感覚ですらある。音との距離感の遠いK3003故に森そのものをを再現できているし非の打ち所が無いほどに伸びている高域には目をあまりの出来に見張る。


全体を通して
 
 全体を通して聴いてみたが僕の耳の事情(僕の耳垢は湿りやすく耳全体が長時間の密封には耐えられない)を鑑みると家の中でもずっと222を使い続けるのは難しい様に思う。K3003を家用に所持し続けるのか、音源、AK240資金に溶けるのか、はたまた入門用据え置きに化けるのか。おそらく今後の222の伸び次第ではないかと考えられる。


Private222

高域★★☆☆☆

中域★★★☆☆

低域★★☆☆☆

バランスが取れているが故に高域の伸びが足りない。

低域のメリハリが弱いせいで音が崩れる事もある。

市販のモデルと比べて驚異的に音がいいという事は無いし音質に関してはK3003の方が上を行くし音の傾向も違うので比較は難しい。

しかしRoothなどでのリモールドイヤホンなどに比べれば須山のサポートやfitear専用リケーブルを楽しめるなどのメリットもあり、溝の爪かけが地味にありがたい。


遮音性に関して文句は無いので騒音環境の酷い場所が苦手なK3003の弱点を埋め合わせる良い懐刀となるであろうと考えられる。

総括しても家の外、騒音環境で聴く分には問題の無い出来である。

家の中でイヤホンを楽しみたいのならおすすめしないが家の外だけで楽しむのなら222で十分ではないだろうか。

またのちほど